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Evan Hiroyuki Shintani

   journalist

 

数学者ガウスと通信社創生前のロイターはドイツの田舎街ゲッチンゲンで出会った。当時、ガウスは数学・物理学にまたがる天才として名をとどろかせていた。
 ガウスに近づいた若き青年ロイター。テレグラフ(電信)がパリを中心にベルリン、ロンドン、やがては海を超えてニューヨークと伸びて、世界の情報はわずか2時間で届くようになって行く。一国の存亡にかかわる戦況や綿花相場などが情報をもつ者とそれを得られない者をへだてる。
 いわば世界初の情報革命であった。巨大の渦は、やがてはアインシュタイン、オッペンハイマー、原爆へとつながって行く。研究者たちの業績が、縦につながり、そして、時間のなぞを追って行くドキュメンタリー。らせん状にかけあがってゆき整理された世界は、ドラマチックで、時間の正体に気付くと、儚く美しく、きらめく世界に目を奪われる。

 

第4の次元 時間はイリュージョン?
正体を解明 ガウス驚異の定理(ラテン語:Theorema Egregium)
 

 東京有楽町にあるフォリンプレスセンターに事務所をおくアーサーは「日本は情報を集めるのに不利だ」とこぼす。
「なにが?」と問いただすと、
「朝、9時にここに入っても、ロンドン、ニューヨークは寝ているし、香港、シンガポール、上海はこれから起きるからさ」。
「そんなこと?」。日本の閉鎖性でも言うのかと思っていたら、物理的な話だった。
ニューヨークに本社があるアーサーの新聞社との時間差は-13時間。つまり、編集長や同僚記者とする編集会議(電話)をしようとすると、夜の午後10時以降だ。
 だが、そこで決められたことは、一晩寝て翌朝からでないと取り掛かれない。それがストレスになるという。つまり、ネジを巻かれた軽い興奮状態のまま寝つけない夜を過ごさなければならないのが腹立たしいという。
 「通信社や証券会社だと、もっとストレスがあるかもしれない」。
通信社のロイターは、電信技術を世界でいち早くとり入れ、成功しその後、世界の新聞社に記事配信をするようになった。しかし、その最初は株価や相場の電信だった。事実だけをもっとも的確に短く伝えるのが特長だ。
ロイターのロゴは少し前までドットで社名を表していた。今では時代遅れだが、これは電信が吐き出す、紙のテープにドット(点)を打つ込んでアルファベットをわかるようにしたものだ。

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